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設立趣旨

 子どもたちの健やかな人間的成長と発達のために,初等教育が担う役割ははかり知れません。しかし,ともすると,初等教育の独自性よりもそれぞれの教科,生徒指導など,既存の専門領域の範囲にこれまでの研究は留まりがちでした。そこで,初等教育の特性や固有の問題に関心をもつ多様な領域の研究者と実践者が,諸課題を共有し合い,議論を深め合い,協働して理論と実践を創り出すアリーナを切り拓き,ともに研究・実践の成果を結晶化していくことができる学会の設立をここに志すこととなりました。初等教育の研究と実践に関心を寄せる多くの方々がこの趣旨に賛同し,「初等教育カリキュラム学会」にご参集くださることを期して,ここに熱く呼びかけます。

 初等教育では,幅広い多様な発達段階にある子どもたちが互いに影響を及ぼし合いながら一つの学校で過ごします。また,就学前教育と中等教育のあいだに位置するため,必然的に接続期の課題を有していること,地域社会との密接な関係の中で教育活動が展開されることも,その特性の一つであるといえます。そこでは,幼児教育や中等教育とは異なる固有の教育原理や方法,カリキュラム等の探究が不可欠です。

 また,初等教育を担う教師の側に視点を向けてみると,子どもたち一人ひとりの成長や発達の課題に対応しながら,基本的に学級担任が全ての教科の指導に責任をもち,各教科や総合的な学習の時間,外国語活動,道徳,特別活動といった教育活動全体の関係性を絶えず意識しつつ,インクルーシブ教育の視点も踏まえ,学級として,学年として,そして学校全体として,組織的,一体的,意図的に教育実践を展開しています。ここにも,初等教育の特性を見出すことができ,幼児教育や中等教育とは異なる固有の研究領域の確立が求められるのです。

 義務教育を貫く小中一貫教育が制度化されたり,従来のカリキュラムが社会の要請に応じて改変されたりするなど,学校教育をめぐる現代の動向はめまぐるしく変化しています。しかし,未来を拓く子どもたちの人格形成を担い,その心身の発達に応じて体系的な教育を行う営みの重要性は,これまでも,そして,これからも変わりません。その基盤となる初等教育の担う役割を再確認し,本学会での成果を子どもたちに還元していくべく,多くの仲間とともに初等教育における実践的・学術的研究を展開していきましょう。

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